ハムすけは、24日から26日までの二泊三日、パパと一緒に夫の実家へ遊びに出かけた。
私と離れて夜を過ごすのは初めての経験になる。
どうなることだろうと思っていたが、ふたを開けてみると、ハムすけはまったく平気で、いつもどおりだったという。
ママのまの字もでなかったとのこと。
「やるじゃん!」と思ったり、ちょっと寂しい気持ちがしたりして、母心は複雑である。
私は、久々の独り身。
映画(「デジャブ」「ホリデイ」)を見たり、ゆっくり試着をしたりしながらショッピングをしたり、久々のお友達と会ったりして、のんびりと一人の時間を楽しんだ。
しかし、ハムすけと同じくらいの男の子を見ると、「今頃どうしてるかな?」とハムすけのことを思い出す。
ショッピングをしていても、「ハムすけが帰ってきたら、これをあげよう」と、いそいそとハムすけのものを買ったりして、気分は孫の帰省を待つおばあちゃんである。
夜も、ひろびろと、寝相の悪いハムすけに邪魔されずに眠れる上、ハムすけがはいだ布団をかけなおしたり・・・という手間もなくてよいのだが、なんとなく寂しい。ハムすけのかわいい体や笑顔がくるくると浮かんで、「早く帰ってこないかなあ」などと思ったりする。
今日は、空港まで迎えに行った。
夫に手をひかれて歩いてくるハムすけを見ると、じんわりと涙がでてしまった。
「ああ、こんなにハムすけはかわいかったっけ?」と、親ばか全開である。
夫には申し訳ないが、もうハムすけしか目に入らない。
「おかえり!」と手を広げると、くるんとハムすけはその腕の輪のなかに入ってきた。
ハムすけのいる毎日が、また始まる。面倒くさいような、うれしいような。母心は複雑である。
ハムすけは、大人のやることをよく観察している。
ままごとのお鍋やお皿をスポンジで洗うまねをする。
おもちゃの野菜を、包丁で上手に切れるようになった。
掃除機をかけてくれるのだが、椅子の下も、引き出しもちゃんとひきだして掃除機をかける。コンセントをどこに差し込むかもよく分かっている。
「寝るよ」と声をかけると、パチッと電気を消してくれる。
トイレに一緒に入ると、まずドアを閉め、鍵をかけ、ペーパーホルダーのふたを、さっと上げてくれる(そして、最後はもちろん、水を流してくれる)。
お箸を使いたがる。
ガムの紙をむいて、私の口に入れて食べさせてくれる。
プラスティックのカードを、ほそい隙間に差し込む。
ズボンを自分ではこうとする。
できないことが多いが、大人と同じようにやってみたいという気持ちは、ものすごくふくらんできているようである。
また、身近にあるモノについて、所有を非常に気にするようになった。
たとえば、食卓に並んだコップを見て、「ママん(ママの)」、「パパぷ(パパの」、「ハムちゃんお(ハムちゃんの)」と、指さしていく。
玄関にある夫の靴をさして、「パパぷ」。とりこんだばかりの私の洗濯物を見て、「ママん」など。
自分の足を指差して「ハムちゃんお。ママん?」と言い、私が足を見せると満足した顔をしたりもする。
そして、なにより「いや!!」を連発するようになった。
「おむつ替えよう」「い~や~」、「歯磨きするよ」「いや!」、「お外行こう」「いや~、いや~(節をつけて)」。
本気で反抗している時もあるが、なんだかからかわれているような気分になることもあるので、たぶん「いや、と言ってみたい気分」なんだろうなあと推察する。
二歳を目前にして、ハムすけにも第一次反抗期が始まったのかなあと思うと、ハムすけも成長したよねえと感慨深い。いちいちイヤといわれるのは正直面倒なのだが、まあ、嬉しくないこともない。
根津神社へ出かけた。
神社を囲む透かし塀は美しく、広い境内には鳩が群れ、平日だというのに、参拝客(外国人含む)も多い。
近くに日本医科大学の高度救命救急センターがあるので、駅から根津神社まで歩く間、ハムすけは救急車をたくさん見ることができて大興奮である。
私はといえば、根津神社もよかったが、おいしいものにたくさんめぐりあえて大興奮であった。
まず、「おいもやさん」の大学芋。とろりと甘い蜜が、ほくほくカリカリのサツマイモにからまって、甘いがおいしい。緑茶がほしい感じ。
次に、「根津のたいやき(柳屋高級鯛焼本舗)」でたい焼き。ここのたい焼きは、皮がぱりっと薄くて、大納言小豆のつぶあんがしっぽまでつまっていて、非常においしい。
そして、「花小路」の焼かりんとう。これはユーミンもお気に入りの一品だそうで、油で揚げていないので、ローカロリーなんだそうだ。黒糖の甘みが、かりっとしたかりんとうにしみこんでいて美味しい。
次に一駅となりにある湯島天神へいく。
たくさんの合格祈願絵馬、お礼の絵馬がかかっていて、一つひとつ目を通すのが楽しい。
「いっぱい大学受けるんだなあ」とか、「高校合格してよかったねえ。三年後もよろしくお願いしますかぁ。学生さんって大変だねえ」などと、部外者気分で見て回った。
ハムすけも、いずれは、こういうところで神頼みをすることになるのだろう。
自分の進路をしっかり考えて、それに対して努力できるいい男に育っていてほしいなあなどと思った。
ハムすけの二歳のお誕生日プレゼントとして、注文していたストッケのトリップトラップチェアが届いた。
ナチュラルカラーは品薄で、ずいぶん手元に届くまで待たされたが、誕生日には余裕で間に合った。
さっそく組み立てて、ハムすけを座らせる。
いい感じ。
この椅子、私がずっとハムすけに買ってあげたかったものなのだが、少し値が張るので、誕生日まで待った代物なのである。たぶんだが、この椅子が届いて、ハムすけより、私のほうがずっと嬉しいと思っていると思う。
しかし、ハムすけも気に入って、自分から椅子に座っている。
食事も一緒の机でとれるようになって、嬉しそうである(今までは、ハムすけ用の机と椅子で食べていた)。
そして、椅子に座って、机の上でパトカーと青い車を走らせていたところ、椅子に座っていることを忘れて、さっそく落ちた(そして唇をがりっと噛んで、流血事件となった)。
それにしても、一歳の誕生日プレゼントは絵本ラック、二歳のプレゼントは椅子・・・。日用品を誕生日にかこつけて買ってもらうハムすけ。
私は、夫から誕生日プレゼントにグローバルの包丁をプレゼントされた女なので、こういう記念日に日用品を贈られる人の脱力した気持ちというのがよく分かる。
だから、もうちょっと大きくなると、こういうわけにはいかなくなるんだろうなあ。ハムすけが喜ぶ、ハムすけがほしがるものをプレゼントに選ぶことになるんだろうなあ・・・と椅子を眺めながら思ったのであった。
ちんたらちんたらと、ゆっくりしたペースでお稽古を続けていたトールペイントだが、先生がだんな様の海外赴任について行くことになり、急に様相が変わってしまった。
先生が日本を去る前に、なんとかカリキュラムを修了してしまいたい!いや、ここで修了してしまわないと、きっと新しい先生を探すのも面倒になって、白木ばかりが家に残ってしまう。せっかく上級までこぎつけたのに、修了書ももらえないし、卒業制作を提出して認定してもらわないと、今後(やりたいと思った時に)、アップルシードのトールペイントを人に教えることもできない!!
・・・ということで、毎晩ハムすけを寝かしつけてから、絵筆を握って、こつこつと作品を作り続けた。
とはいっても、描き方が分からないところは、レッスンに行って、先生に教えてもらわなければ進めない。
レッスンは本当は二月までだったのだが、先生に無理を言って三月もレッスンを続けていただいた。
そうして今日、トールペイント上級コースの全てのカリキュラムを終え、卒業制作も仕上げ、必要書類をまとめて提出することができた。
まさに、すべりこみセーフである。やったー!!
まだ修了書も認定書も手元に届かないが、一つの習い事をきちんと最後までやり遂げることができて、すごく嬉しい。
時間があるときに、焦りつつ頑張って作った作品をアップする予定なので、見てくださいね。
電車で鬼子母神へ出かけた。
「きしもじん」の「き」は、ほんとうは「鬼」ではなくて、鬼の角がとれた字が正しいのだが、パソコンでは出てこない。
境内はいい感じに古めかしく、地元の子どもたちが元気に遊んでいる。小さなふるい駄菓子やさんもある。
お参りをして、お団子を買って帰ることにした。
都電荒川線がかわいらしかったので、「乗ってみよう」ということになり、「王子駅前」まで乗る。
バスみたいな電車で、東京の下町をがたごとと走っていくのが楽しい。江ノ電みたいな感じである。
王子権現までゆっくり歩いた。
想像していたよりも広い境内で、地面は美しく掃き清められている。お参りをして、草花の描かれた天井画も見せていただく。
ここに、「今年の厄年」という看板があって、私の干支は前厄と書かれている。
実は、4日に穴守稲荷に行ったときに同じような看板を見て、厄除け守りも一ついただいたのだが、正直「厄がやっと終わったと思ったら、また?」という気分である。
どうも、これから始まる厄年は「小厄」みたいなのだが、お稲荷さん関係では、こっちのほうがメインなんだろうか?よく分からないが、無事に今回の厄年も過ぎ去ってほしいなあと祈るばかりである。
王子駅に戻る途中、「石鍋久寿餅店」という小さなお店を見つけた。駅から遠い立地にもかかわらず、お客様がどんどん店内に入っていくので、私も入ってみた。
創業は明治20年で、久寿餅(くずもち)、あんみつ類、酒まんじゅう等を販売しているが、総ての商品が明治からの製法で調製されているのだそうだ。
ここの久寿餅は、小麦の澱粉のみを分離し、2年の発酵を経て、水晒ししたものを蒸し上げてつくっているという。四角い一枚の板のような形で、包丁で切って、黒蜜ときなこをかけていただく。
正直にいって、そんなにおいしいものではなかったが(普通の葛餅に慣れているからだと思う)、歴史がある!と思うとありがたみがある。酒饅頭は、すごくおいしかった。
銀座に出かけたのだが、ちょうどホコ天で、松屋と三越の間の道に、はしご消防車が止まっていた。
そのはしご消防車の運転席に、ちびっこを乗せてくれるというので、さっそく列に並んだ。
順番を待っていると、私たちの前にいた女性が、「あの、一度聞いてみたいと思っていたんですが、消防車っていくらくらいするんですか?」と質問した。
耳をダンボにして聞いていると、「消防車というのは、同じように見えるかもしれませんが、一台一台機能が違います。完全なオーダーメイドなんですね。このはしご消防車が、はしごが40メートル伸びるもので、(価格が)高いほうです。この車で二億ですね」とのこと。
へえ~、二億かぁ・・・と、なんとなく車の表面をなでてしまった私である。
ハムすけは、運転席に乗ると、得意げにハンドルを握り(これは、どの子どももやっていた)、ウインカーをがちゃがちゃと動かして(これは、誰もやってなかった)ご満悦であった。
私は、ハムすけの乱暴なウインカーの扱いを見ながら、「お願いだから壊さないでよ。二億だよ、二億」などと思い、あせる。
夫は、何枚も何枚も写真を撮り、ハムすけ以上に嬉しそうであった。
でも、許されるなら、私もはしご消防車の運転席に乗りたかったな。
南房総をドライブした。
ポスターなどでよく目にする一面の菜の花畑を見るのを楽しみにしていたのだが、道の駅「枇杷倶楽部」で、その夢はかなえられた。
見渡すかぎり、黄色、黄色、黄色・・・。
明るく美しい黄色の洪水である。
いい写真が撮れそうだなあと嬉しくなって、夫に「もっと畑の真ん中に入って!」などと命令し、蜂がぶんぶんと飛ぶ、ぬかるんだ畑の中に追いやったりした(らしい。蜂がいたことも、地面がぬかるんでいたことも知らなかったもん)。
枇杷ソフトクリームを食べながら、今度は勝浦で行われている「ビッグ雛祭り」を見るために、再び車を走らせる。
なんとなく雛祭りに「ビッグ」という言葉はそぐわないような気がするのだが、ビッグとつけたくなる気持ちも分かるような、ものすごい数の雛人形が、そこにはあった。
古いのも、大きいのもある。それぞれ着物やお道具の紋が違う。
町中、いたるところに雛人形が飾られている。
遠見岬神社の石段にも、緋の繊毛がひかれ、ずらっと雛人形が飾られている。
とにかく、数がすごい。
飾り付けるのも、片付けるのも大変だろうなあと、ひとごとながら、なんだか疲れたような気持ちになって、その場を後にした。
この日以来、ハムすけは黄色い花や、草木を見ると、「なのはな!」と叫ぶようになった。
ハムすけにとって、あの一面の菜の花畑はインパクトが強かったみたいである。
